最近、「心理療法とシャーマニズム」という本を読んだので、ちょっと自分なりに考察したことも含めて感想など書きたいと思います。

この本、前からちょっと気になってて、古本は高値がついてたので、図書館検索したら高松の図書館にありました!!なんかマニア向けなにおいのする本なのに・・。
ということで読むことができました。
ちょっと長くて引くかもしれませんが(^^;)、それでも相当はしょって気になったところだけにしましたので、よろしかったら読んでみてください。


★著者である井上亮さんのこと

実は知りませんでした。はじめ、タイトルからスピリチュアル系な本なのでは??と思ったりしていましたが、かなり真面目な心理療法家として書かれた本でした。
しかし、このタイトルで一冊の本にまとめたのではなく、井上さんがこれまで書かれたいろんな文章や論文をまとめた一冊となっています。
これはすでに井上さんは亡くなられているのですが、亡くなられてからまとめられたのではないかと思います。
そのため貴重な北カメルーンのシャーマンたちの調査について読むことが出来るのです。

井上さんは心理療法家として精神的に複雑な病にあるケースをたくさんあつかわれていたようで、その仕事の中で、自分がやっている療法の限界のようなものを感じていたか、新たな別の見方を模索していたようでもあります。
井上さんがカメルーンへ一年間呪医たちへの調査へと向かったのは1989年のことです。
80年代ころはとくに境界例の患者さんたちも多かったのではないでしょうか。
彼はアフリカの地で、呪医のインタビューのお礼として占いをしてもらってお金を支払っていたのですが、7人くらい見てもらったところすべて、「日本に帰ったら、あなたは死ぬ」と言われ、自分なりに「占いをひっくりかえす法」というのを実行してみることにして、それがひっくりかえったそうです。
そして確かに、日本に帰ってすぐに亡くなることはなかったのですが、10年くらいたった2002年に亡くなられていました。これはやはり呪医の言うとおりだったのかどうか・・。
わかりかねますが、彼がカメルーンで夢見をして、イニシエーションを受けた後、おこなう療法はどのように変わったのかちょっと知りたかったなあと思います。

この本の中では呪医から実際にイニシエーションを受けて、夢見をおこなう内容が書かれてあったり、他のシャーマンの調査での考察とかいろいろあるのですが、すべて心理療法家から見たり、感じたこととしての内容になっているところが一番興味深かったです。


★アフリカ、カメルーンの呪医の治療について

ほとんど知らなかったのですが、井上さんが調査されていた頃はまだアフリカのその土地はシャーマニズムがいきづいており、呪医が治療をおこなっています。
北カメルーンのアマダワ地方、北部地方、極北地方で調査はおこなわれています。

シャーマンの役割は今でいう医者と心理療法家の両方を含むような役割になるかと思いますが、沖縄のユタがいるような場所でもあるように何かに取りつかれたような精神的におかしくなることでやってくるケースが多いというのが特徴のようです。
それはその土地のシャーマニズムが生きているところに住んでいる人ならではなのかもしれません。
よく悪魔祓いで専門の教会にやってくる人もたくさんいますが、日本ではほとんどありえないように、キリスト教社会で悪魔という発想が生きている地域や集団ではありうるのかもしれないです。

カメルーンではギンナージという精霊が患者にとりつくことが原因だとされていて、
呪医はそれを夢の中で、ギンナージと話し、どうしたらいいのか、どんな薬を与えたらよいのか、どうしてその人の中に入ったのかなど聞き、翌日、その薬草をとってきて患者に与えるそうです。
悪い人なのに、治療方法を教えてもらえるというのは不思議なものですが。
このあたりでは、交通事故をおこしても、ギンナージの仕業とされていて、その土地の人はすべてそれを信じ切っています。ここは大きなポイントです。
だから、ギンナージと対話して治療する呪医に力が得られるのです。
それでも、もっと昔のほうがいろいろなことが出来たとか。

阿部知二さんの「火の鳥 ジャワ・バリ島の記」という古い本を私は持っていて、第二次世界大戦時くらいのインドネシアの土地に阿部さんがいたときの体験記です。
この本ではその頃のアストラルが強烈だったインドネシアの空気感があり、阿部さんが聞いた呪術によって殺されそうになった人の話がのっていました。
後で人型のものが布団に縫い付けられているのを発見するわけですが、のろいで人を病気にさせることが本当にできたのはそうとうな力が働いているといえます。

このあたり、呪医のみだけではなく、その土地に住む人々全体がもっている共通した世界観がよりそうした治療を可能にしているところもあると思います。
もちろんそうでなくても、治療は可能だとは思いますが。


★プロテクションと生贄について

ちょっと療法家らしい井上さんの着目点があるのですが、呪医たちはプロテクションを非常に重要視しています。アストラルの世界では自分も命取りになるので当然なのですが、
これは患者を含めた治療状況全体のプロテクトであることに注目します。
当然、現代の心理療法の過程でもこのプロテクトのために枠組みがあったり、スーパービジョンがあったりするわけですが、このプロテクションの発想を持たなさすぎかもしれないと井上さんは書いています。

あと生贄として動物の血を与えることになっていますが、(肉はみんなでいただく)ここでの生贄の意味は病気を治すことは何らかのバランスを変える行為であるとみなし、それをおこなった呪医にかかりやすいということもあるし、呪医の力が強くても、まわりの家族などに降りかかることもある。それをバランスさせるために動物を生贄として、バランスを修正するという考えだそうです。
これも現代では生贄はありえないけど、病気の家族が治ったり、病気になったりというのは家族全体のバランスの崩れにもなりうることを書いています。


★井上さんのイニシエーション

井上さん自身が呪医にインタビューをしながらも、やはり実際に自分が受けて見ないと理解は出来ないということで数人の呪医に弟子入りをして、修行をおこなう過程をとても詳しく書かれています。
またも、心理療法家らしいのですが、自分の夢の記録(イニシエーションの前後)と解釈が書かれてあるのです。帰還の頃は宇宙までいってなかなか帰れないという夢をみていたり、日本に帰ってからもまださまよっていたりで、帰還プロセスの夢は半年ほどかかったそうです。これはけっこうあると思います。
これほどの経験ではありませんが、1週間ぐらいリトリートへ行ってから帰ってきていても、実はまだ帰ってきていない(たましいが)ということは案外あるからです。

心理療法とイニシエーションというとユング派の本でもあるし、河合隼雄さんも書かれています。イニシエーション(次の段階への移行)となるような夢をみたり、そうした象徴があらわれたり。このあたり井上さんの「治療者としてのイニシエーションと宗教的なイニシエーション」という論文にいろいろ書かれています。

あと「シャーマニズムと癒し」という論文も非常に面白かったです。
沖縄のユタの治療に立ち会って考察されていることですが、
枠組みの問題を指摘していました。
普通にシャーマニズムに興味がある方はあまり思わないことだろうと思いますが、
療法家にとって枠組みは重要なのに、ユタの治療は8時間にもおよび、自宅にいつ来てもいいことになっているだけでなく、ユタ自身の個人史まで語るというまったく現代の心理療法と違うことをしているのに驚かれます。

これはシャーマニズムの世界では儀式を別として、時間や空間が存在しないことをあらわします。このあたりの考察も面白かったです。


最初のほうに書きましたが、井上さんが治療について悩まれていた頃は
境界例がもっとも多い時期のようですが、
最相葉月さんの「セラピスト」によると
今、境界例や対人恐怖というのは非常に少なくなっているそうです。
精神的な病は時代とともに、社会の変化とともに変わっていくものでもあります。

いま、社会でおこっている出来事や事件にも反映し、
水瓶座時代の影響が強くなってくると人の傾向も変化していきます。
それにあわせて癒しの場にいる人たちもずっと同じことをやるのではなく、
あわせて変化していかなければならないでしょうね。

カメルーンの夢見はプラントメディスンにもに似ているところがあります。
夢の中で精霊にあって(この場合はギンナージという病気の原因になっている精霊のみ。プラントメディスンだと植物そのものの精霊に会う)、どんなことをしたらいいのか、どんな植物を与えたらよいのか聞くことと、実際その精霊とコンタクトをとるには恐怖を克服しなければならないというところです。
アストラルではハートの力がとても作用します。
そのためにこわいと思っているものを克服する、あるいは何か恐れを越えて勝ち取るということがつきものでもあります。
そのあたりのお話も興味深いものでした。



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