私の最近の深い関心ごとは古代のヨーロッパの自然信仰。

その自然信仰が中世を経て、キリスト教へと移り変わったあたり。

 

それを非常に刺激させるような本に出会いました。

たまたま寄った古本売り場にて、

「世界の歴史」というシリーズの冊子が一冊100円で売られていて、

興味があるものをいくつか購入。

その中の「森に生きる」という冊子が素晴らしかったのです。

文章のほとんどを中世ヨーロッパを研究されていた阿部謹也先生が書かれているのですが、

とても深い内容で、勉強になりました。

 

 

まさに私が知りたかったこと。

ヨーロッパでの森の移り変わり、森という異界と人間界がのちに融合されていく姿など。

(「もののけ姫」の世界ですね)

 

実は「もののけ姫」を作られた後の宮崎駿さんのインタビュー記事「森と人間」を

愛読のように何度も読んでいて、森と人間ということについてよく考えていました。

 

パリのノートルダム大聖堂。

忘れてたけど、もっと正面の角度からみるとステンドグラスからの光とともに

柱が森の樹木のように立ち並んでいる構造でした。

そういうところがわかる写真を撮ればよかったのですが・・。

これも樹木信仰のなごりともいえるそうです。

 

 

この冊子の中でグリム童話について書かれてありました。

 

グリム童話といえば、ユング派でもよく取り上げられて、

内面世界を知る手ががりにもなっています。

 

ただ、私は子供の頃からどうもグリム童話はそんなに好きになれず、

アンデルセンは好きだったけど、大人になってからはあまり読んでいませんでした。

 

ところが阿部先生の解説で、急に興味がわいてきました(笑)

 

古代では森というのは異界というか、人間界とは違う

畏れ多い神の世界というか、様々な象徴でもあり、

信仰の対象でもありました。

 

人は自分の力だけで何かを達成することはできないと

昔の人は考えていて、

個人の努力ではとうていたどりつけない運命に支配されている状態だと

思っていました。

身分とか環境とかそうですね。

だからこそ、自分の力以外のもの、小宇宙をこえた大宇宙というべき

自然界の力にゆだねるしかなかったのです。

農業をしている人々はとくにね。

 

グリム童話に出てくる登場人物は何かに困っていることが多いけど、

それを自分の力だけでなんとかするというよりも

導かれるものや大いなる力によって達成できるような話が多いのです。

 

シンデレラの元にもなる「灰かぶり姫」

には魔法使いが登場しないって知ってましたか?

 

読んでみて驚きました。

 

シンデレラの話の中にお父さんってほぼ出てこなかったけど、

ちゃんといるんですね。

お母さんが亡くなって、お父さんは再婚し、二人の娘がいるまま母が

やってきて、彼女はいじめられるわけです。

それをお父さんはとめたりしないんですね。

ある日父親が旅に出るというのでお土産は何がいいか娘たちに聞くと

シンデレラは帰り道で最初に帽子にあたった木の枝を頼みます。

 

それがハシバミの木でした。

 

ハシバミというのはヘーゼルナッツのことで、

ヘーゼルナッツを原料としてヌテラというスプレッドは日本でも知られているかと

思いますが、フランスへ行ったときにヌテラの大瓶の見かけ度合の頻繁さといったら、

どんだけヌテラが好きなのかと思わせますが、ヘーゼルナッツ、ハシバミの木も

かなりよくある木なのでしょうね。

 

シンデレラはハシバミの枝を母親のお墓にさします。

そしてそれは成長して、大きな木になります。

彼女は毎日泣きながら、その木に祈るのでした。

 

彼女にとって必要なもの、ほしいものは

そのハシバミの木にやってくる小鳥たちによってもたらされるのです。

舞踏会用のドレスも金の靴も。

 

舞踏会も実は3回も行くんですね。

で、3回目に王子が逃すものかと思って

階段にべたつくようにぬらしておいたのですね。

彼女は目にもとまらぬ早さで飛ぶように逃げるようですから(笑)

それが彼女の靴をおきざりにすることになります。

 

いじわるな姉たちはその小さな靴をなんとかはこうと

爪先を切ったり、かかとを切ったりするそうです。

(そういうところがグリムは恐いと言われるところでしょうが)

でもハシバミの木にいるハトたちがそれを指摘して

王子は違うことを知ります。(早く気づけよって感じもするけど・・)

 

そうしてシンデレラはお妃になったのです。

 

よくシンデレラは何も努力をせずに泣いてばかりで

棚ぼたな幸せをもらう話のように言われてきましたが、

この話はどうにもならない自分の運命を

大自然にゆだねて生きる姿でもあったようです。

それはかつてのヨーロッパの人々の生き方だったのです。

 

グリム童話の大部分はこの話のように、小宇宙のなかで苦しんでいる人間が

大宇宙の力と折り合いをつけ、成功していく話なのである。

そして、その大宇宙の力とは、多くの場合、森の樹木や森の中に棲んでいる鳥や動物である。

グリム童話に示されているような昔話は、以上のような中世の人々の願望が、

森を媒介にして満たされてゆく話としてよむこともできるのである。

「週刊朝日百科 世界の歴史4 紀元前の世界1 生活 森に生きる」阿部謹也

 

シンデレラの中で亡くなった母親のところにハシバミの木を植えたように

自然界とつながる母なる力を象徴しているようでもありますね。

 

そうした森への信仰というものがグリム童話に反映しているのなら、

物語の多くに森や泉が出てくるのもうなづけます。

 

そういう目線でじっくり読んでみたいなと思いました。

 

 

 

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