随分前に心理占星術のレポート用に書いたものを手直しして公開します。

私にとって、金星のテーマは大きく、ちょうどいま自分の金星にいろいろなアスペクトを作っているので

ここで発表するのもいいかなと思いました。

もうちょっと練ることができるかもしれないけど、ひとまず。

 

◆聖母と金星

 

 「金星、木星、海王星・1オクターブ高い星」の回がとても面白く、興味深かった。

※心理占星術の講義

 

その講義によって、金星の背後にあるつながりをより理解できたように思う。

これまで聖母マリアは金星と結びつけられているところがあったが、

ギリシャ神話の自由奔放なアフロディーテとのギャップがあまりにもあり、うまく納得できなかった。

これは様々な女神にもあてはまるけど、

女神といえば月か金星にあてはめられることがよくあり、

聖母マリアは月か金星に関連づけられている。

 

母性というところでは月になると思われるが、

女性性というつながりでは多くの女神が金星の場所に入れられることになる。

例えば植物ではスミレは金星と結びつけられてきたけれど、

スミレの性質とアフロディーテの性質がやはり違いすぎて、

金星の象徴するところの幅の広さを感じていた。

 

聖母マリアはボッティチェリの絵画に登場するマリアの青い服に星の形が書かれていて、

マリアが「海の星」と呼ばれていたことを示していることを知った。

金星もまた海の星と呼ばれていたそうで、そこにまず共通のものを感じた。

 

そもそもギリシャ神話のアフロディーテは海の泡から生まれた。

 

これはウィキペディアによると異邦人にとって、イスラエルは海にたとえられ、

海岸線の向こうの人々という意味もあったそう。

そして、マリアはステラ・マリスとも呼ばれ、

海を旅する人や海で生計を建てる人たちの案内人・保護者として神と人間を仲裁するものと信じられていた。

ここで、マリアが星にたとえられると、

航海での目印となるこぐま座のアルファ星か北極星ということなので、金星ではない。

しかし、別の解釈の中にステラ・マリスは金星という説もあるそうだ。

 

 

女神信仰と聖母

 

聖母マリアへの信仰というのはヨーロッパでは根強い。

キリストという男性的な力に対して、

聖母は女性的なものをあらわす。

だから、もとをたどればアレスとアフロディーテだったり、イシスとオシリスであったり

男性的なものと女性的なものをそれぞれ補い合ってる関係かと思う。

その中でも女神としての力を古代の人々は

自然界の中に畏敬の念とともにみていた。

 

大地から作られる私たちの生命を生かしてくれる食物だったり、

いのちのもととなる水であったり、

こころとからだを癒してくれる自然そのものだったり

直感的な導きであったり

その自然と深くつながる女性はやはり偉大であるとみなされてきた。

 

異教とされた自然への信仰はそもそも女神への信仰にもなるのだ。

その延長線に聖母へのつながりがある。

 

 

★金星の象徴性

 

金星は黄道上に星の形の軌道を描くが、この五芒星は魔術的な印にもなったけれど、

バラ科の植物はすべて花弁が5枚で、五芒星であるという偶然も面白い。

そのため、バラの花はすべて金星と関連づけられている。

もちろんそれはバラの香りのかぐわしさや美しさからではあるが、

マリアもバラと結びつけられているので、やはり金星とのつながりもあることになる。

 

フランス・ルルドに植えられていたバラ

 

ギリシャ神話におけるアフロディーテは結婚しているけれど

いろんなところに愛人をつくり、一番の愛人であるアレスとの間には子供までいる。

嫉妬深く、自分が一番美しいと思っていて、いろんな女神と争う話もある。

自由で誰のものでもなく、彼女は自分の美しさを誇り、自信をもっている。

 

金星はアフロディーテのような自由奔放な女性としてあらわされているけれど、

つつましい聖女のイメージからはまったく異なる。

 

本来、金星は牡牛座、天秤座の守護の星とされてきた。

牡牛座はよりアフロディーテらしく「私が五感や肉体をとおして楽しむこと」

天秤座は「私が人との交流や恋愛によってこころを楽しませること」

 

魚座は木星が守護であったが

エグザルテーションでは金星との関係をもつ。

「他者のために献身することによって、神の愛とともにいる幸福を味わうこと」

というような感じだろうか。

この魚座の木星はのちに海王星に座を譲ることになる。

 

金星は楽しむことやキラキラしたものや素敵なものを連想させるが

どんな天体にもポジティブな意味とネガティブな意味あいがあり、

金星の背後にあるネガティブな意味は

憎しみ、嫉妬、ねたみ、欲望、イライラ、ヒステリーなど

女性が恋愛中に感じることが多い感情的な表現が多い。

 

その中でも金星のもっとも奥深い象徴性は私は『痛み』だと思う。

痛みは土星や冥王星が感じるものではなく、金星が感じるものではないだろうか。

あこがれや気持ちが高まることや動かされること、こころが喜びに震えること

はいつでも痛みへの変貌をとげることが可能だ。

その気持ちが大きければ大きいほど、深く愛するほど痛みも大きくなる。

 

どんなに美しいバラもトゲを持っているのはそのためかもしれない。

 

決してその羨望や欲望が叶えられないとき、

自分自身が愛やあこがれの対象から鋭く切られるとき、見捨てられるとき

わたしたちは痛みを感じる。

 

痛みを感じないように楽しいものだけを見ようとするかもしれない。

 

そのような痛みに苦しむときにわたしたちを救い出し、

癒えなくても、ただ救いとなるのは

痛みを認めて自分自身の内側でその痛みを変えることができること。

 

金星は痛みでもあり、喜びでもある。

 

物質的なものや人を得られることで金星は満足できるかもしれないが、

本当に満たされるのは自分の内にある金星的なバランスが取れたときだろうか。

他者から愛されることではなく、

痛みを感じているのは他者によって感じているのではなく、

自分によって作り出されているのだとしたら、

自分が自分を愛することでしか痛みに向き合えない。

 

木星、海王星は金星をより精神的な世界へと誘い、魂を高みにあげるために

助けとなる。

 

 

★金星から木星、海王星とのつながり

 

そこで、金星と木星、海王星のつながりを考えていくと、

アフロディーテのベクトルの先に聖母マリアがあり、

聖母マリアから逆向きにアフロディーテがいるのではないだろうかと思った。

 

すべての女性がマリアそのものでもないし、アフロディーテそのものでもない。

それはひとつの象徴的な側面であり、一人の女性の中にマリアのような聖女の面もあれば、

アフロディーテのような愛憎の激しい面もあるのだ。

 

木星・海王星のもつ精神性と霊性の側面を金星の欲望ある自我をもつ個人から養い、

成熟させていくにつれ、本来の金星がもつ輝きが深みを増してくるのではないだろうか。

美しさというのは外面だけではなく、年とともに若さは衰えてはくるけれど、

内面からもたらされる美しさが表面にあらわれるものである。

 

マリアはそうした内面の精神的な側面なのだ。

輝いて見えるものはすべて、表面的な輝きだけでなく、

見る人にとっては内側の輝きとして見ることもある。

だから、金星とマリアのつながりは、

木星・海王星を含んだ視点から見る金星がマリアなのだということになる。

 

だからこそ、強い光を放つことができるのである。

 

 

 

 

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